【熊本】うつ病で障害年金は受給できる? 基準とポイントを解説!
うつ病とは、ストレスなどが原因で精神的なエネルギーが低下し、気分が沈み込んだり、気力が湧かなくなったりする精神疾患です。日本人の約15人に1人が一生の内にかかるという非常にありふれた病気です。うつ病は、障害年金の対象となる病気です。ただし、一定の基準を満たしている必要があります。
障害年金の受け取れる金額についてはこちら
今回は、うつ病の場合、どのような基準で障害年金が受給できるかの判断がされるかについてご説明します。
うつ病の認定基準
障害年金の判定方法は「総合判定」と呼ばれ、「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」に障害等級の目安が示されています。
◆障害等級の目安
障害等級の目安は以下のような表で表されます。
判定平均\程度 |
(5) |
(4) |
(3) |
(2) |
(1) |
3.5以上 |
1級 |
1級又は2級 |
– |
– |
– |
3.0以上3.5未満 |
1級又は2級 |
2級 |
2級 |
– |
– |
2.5以上3.0未満 |
– |
2級 |
2級又は3級 |
– |
– |
2.0以上2.5未満 |
– |
2級 |
2級又は3級 |
3級又は3級非該当 |
– |
1.5以上2.0未満 |
– |
– |
3級 |
3級又は3級非該当 |
– |
1.5未満 |
– |
– |
– |
3級非該当 |
3級非該当 |
医師が書いた診断書の記載項目のうち「日常生活能力の程度」の評価が横軸、「日常生活能力の判定」の評価が縦軸に示されており、2つの要素の交わるところが判定の目安となる障害等級です。
診断書を作成する医師が、下記の(1)~(5)のうち日常生活の状況に近いと思われる項目を選択して記載することとなります。
- (1)精神障害(病的体験・残遺症状・認知障害・性格変化等)を認めるが社会生活は普通にできる。
- (2)精神障害を認め、家庭内での日常生活は普通にできるが、社会生活には援助が必要である。
- (3)精神障害を認め、家庭内での単純な日常生活はできるが、時に応じて援助が必要である。
- (4)精神障害を認め、日常生活における身のまわりのことも、多くの援助が必要である。
- (5)精神障害を認め、身のまわりのこともほとんどできないため、常時の援助が必要である。
(1)~(5)までのうち、どの項目に判定されたかによって「障害等級の目安」の横軸の位置が決まります。
一方「日常生活能力の判定」においては、下記の(1)~(7)までの項目のうち、それぞれ4段階評価で診断書を作成する医師によって判定され、記載されます。
- (1)適切な食事
- (2)身辺の清潔保持
- (3)金銭管理と買い物
- (4)通院と服薬(要・不要)
- (5)他人との意思伝達及び対人関係
- (6)身辺の安全保持及び危機対応
- (7)社会性
それぞれの項目の評価の平均が、「障害等級の目安」の表における縦軸の位置に該当します。これらの「日常生活能力の程度」と「日常生活能力の判定」の平均を組み合わせて、どの障害等級に相当するか示したものを「障害等級の目安」と言います
◆総合評価の際に考慮すべき要素
「総合評価の際に考慮すべき要素」とは、診断書の記載項目(「日常生活能力の程度」「日常生活能力の判定」を除く)を5つの分野に区分し、分野ごとにその具体的な内容例を示したものを指します。
5つの分野とは以下のものを指します。
- 現在の病状または状態像
- 療養状況
- 生活環境
- 就労状況
- その他
総合評価において、障害等級の目安は障害等級判定の決め手となる要素のひとつですが、障害等級の目安のみで障害等級が決まるわけではありません。
このように、うつ病の障害年金認定では、診断書裏面の「日常生活能力の判定」と「日常生活能力の程度」における評価はとても重要なポイントです。
しかし、受診の際に日常生活の状況をすべて話せていないことも多く、その場合、診断書に「実際よりも軽い症状で書かれてしまった!」という事になる可能性もあります。
もし、実際の症状よりも軽い症状の診断書を提出すると、当然、実際の症状よりも軽い等級で認定されたり、不支給となったりすることもあります。
このようなことを防ぐためにも、診断書の作成を依頼する際は、主治医に現状伝えているかが重要です。
ご自身で伝えることが難しい場合は、日常生活状況をまとめたメモを渡したり、ご家族など普段の様子を知っている方と一緒に同行し、家族の方から医師に伝えてもらう方法もおすすめです。
◆就労していると受け取れない可能性も
障害年金は、働いていても受け取ることができる年金です。うつ病の場合も働いているから、障害年金がもらえないとはいえません。しかし、逆に、うつ病と診断されているから、働いていても必ず受給できるものでなく、どちらかといえば、働いていることにより日常生活能力があるとみなされ、障害の状態が軽くなっていると判断されることがあります。
そのため、うつ病で障害年金を申請する際は、うつ病の理解のある職場で配慮してもらっている状況や周囲のサポートがあって働くことができていることを申請書類に具体的に記載することが重要です。
日本年金機構『国民年金・厚生年金保険 精神の障害に係る等級判定ガイドライン』
まとめ
障害年金の申請の手続きを進める際には、年金事務所に行ったり専門的な内容の書類をそろえたりする必要があります。
特にうつ病の申請については診断書の内容によって障害年金を受け取れるかどうかが大きく左右されます。適切な内容の診断書をそろえるため、事前に診断書作成医とは、よくコミュニケーションをとって生活の実態を知ってもらう必要があります。ですが、うつ病などの精神疾患の場合、日常生活もままならないなか、障害年金の申請手続きを進めるのはなかなか難しいかと思います。こうした場合、社労士へ障害年金申請代行を依頼することをおすすめします。
社労士は公的年金に関する国家資格なので、障害年金の申請手続きを代行して請け負うことができます。当事務所は様々な障害年金の相談を受けております。
うつ病における障害年金の申請についてお悩みの方はご相談ください。
最終更新日 2か月